ちょっ、扇李!
「痛いよっ」
「思い出さないお前が悪い」
「だ…だって」
扇李の手を掴み無理矢理引き離すとジーンと少し頬が痛い
「もう…」
「本当に思い出さないのか?」
「わ、わからないよ…じゃ、じゃあヒント!」
「そんなものない」
「あっ…」
クルッと身体を回転させられ、ソファーに座る彼の脚に馬乗りになるように座らされ
ギュと抱きしめられる
「…っ」
な、なんか…すごくいやらしい格好に胸がドキドキすると扇李が鼻で笑う
「しょうがないから、話してやる」
「?」
「沙優が両親を亡くす少し前に両親と遠くの山に出掛けたことがあっただろ?」
「…山…に…?」
両親と…
「なんか、そんなこともあった気がする」
「気がするじゃない、あったんだ」
「………」
「そのとき、沙優は山で迷子になっただろう?寒い山を1人迷子になたんだ」
「……」
迷子に…そう扇李に言われると頭の奥深く眠る記憶がよみがえって来た
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