温室は、一階からつながる
屋根のある長い外廊下を
歩いて、濡れることなく
たどり着ける。


楓さんと一緒に中に入り、
外の寒さを気にせず綺麗に
咲いている花達をしばらく
案内して歩いた。

と言っても、あたしが
できたのは花の名前を
『○○です』って説明する
だけだったけど。


「……どの花も見事ですね。

それに手入れが行き届いている」


「あ、はい。

うちは専属の庭師がいて、
こまめに手入れをしに
通ってくれてるので……」


問いかけに応じてそう説明
していたまさにその時、
あたしは進行方向にチラリと
人影が見えた気がした。


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