カーテンの開いた窓の外を
見て、幾分残念そうな顔を
してる。


たしかにうちの庭はかなり
立派で、春にはイングリッシュ
ガーデンさながらの色とり
どりの花が咲き乱れるし、
冬でも散策するには充分の
風情を持ってる。

だけど今日は積雪で、
さすがに外は歩けない。


……あ、でも。楓さんは
まだ知らないのかな?


「裏手に、広い温室も
ありますけど……」


恐る恐る言ってみると、
楓さんは思いのほか嬉しそうに、
パッと顔をほころばせた。


「温室? そうなのですか?」


「はい。散歩というほど
じゃないけど、ブラブラは
できると思います……」


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