はぁぁっと、特大の
ため息を落とすあたし。


楓さんはそれを見て、形の
いい顎に左手の人差し指を
当てて苦笑した。


「よっぽど気が重いと
お考えのようですね」


「……う、えっと……」


もちろん重いです。
重すぎて背中が曲がるくらいに。


正直に答えることは
できなかったけど、考えは
顔に出てたのかもしれない。

楓さんは再び、サラサラ
した栗色の前髪を揺らして
クスッと笑うと、


「それでは初日の本日は、
小難しいレッスンは控えて
おきましょう。

リラックス出来そうな
ところですと――散歩、
と言いたいところですが、
今日は生憎の天候ですね……」


_