「は、はぁ……」


「この度私は、リリカ様を
立派なレディとして社交界に
送り出すよう、任を
つかわされました。

その使命、全身全霊を
持って務めあげさせて頂きます」


頭を下げたまま粛々と話を
続ける楓さんに、あたしは
マヌケな相槌を返すのが精一杯。


つまり……なんか難しい
こと言ってるけど、

とにかくただの使用人じゃ
なくて、あたしの男嫌いを
治すレッスンも頑張ります、
って言ってるんだよね……?


「――よろしくお願い
いたします、リリカ様」


顔をあげてニコリと微笑んだ
爽やかな顔に、あたしは
条件反射的に、『よろしく
お願いします』と返し
ちゃってた――…。





     ☆☆☆☆☆


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