背中に棒でも入ってるの
かと思うほどピシッとした
姿勢で、ドアの左隣に立つ
彼――S級執事の、楓さん。


食事が終わるとパパが、


『お前を指導する方法などは、
全て楓君に一任してある。

とりあえず今日一日一緒に
過ごして、一刻も早く
慣れるんだ』


って言って、情け容赦なく
あたしと彼を二人きりに
したんだ。


で、仕方なく二人で部屋に
戻ってきたものの、自室に
見ず知らずの男の人がいる
なんて状況、あたしは
生まれて初めて。


(ム、ムリだよ……。

緊張で、声も出ない……)


それどころか、気を抜いたら
足が震えそう。

それくらい、ガチガチ。


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