「え?もう1回」
「私は桐谷君が好きなんです。だから、やめてください」
私は嘘笑いをしてみる、とぴきーんと固まるような音がする。
「まじでー。」
…とか、廊下がざわつき始め桐谷君が私の手を引いて歩きだす。
その顔は有り得ないほど赤かった。
――そしてグラウンドに着くと、「ちょっとちょっと」と雫が私を呼ぶ。
「あんたの謎発言こっちにまで来てる…って何で手繋いでるの。」
いやー、噂って怖いね。もう広まってる。
「違うの、訳ありなんだあ」
「何が」
「知らないおにーさんたちに連れて行かれそうになったから言ったんだよ。
桐谷君が好きだって」
私はなるべく冷静をたもって雫に言う。
すると雫はにやにやしながら
「それさ、本心なんじゃないの。」
――その発言に
私と桐谷君は顔を真っ赤にする。