切羽詰まった状況で、向かうべき場所へと自然と辿り着ける私は立派なものだと思う。
川上に向かって沈んでいく夕日をぼんやりと見上げながら、何となしに堤防から波打際へと続く階段に腰を下ろした。
―――さあ、これからどうしたものか。
とりあえず、ギリギリまで時間をつぶそう。
家に帰ってヘタにまた攻撃されても家族を巻き込んでしまう。
かといって帰らなければ心配性の両親が黙ってはいない。
8時くらいに帰宅してそのまま部屋に閉じこもるのがベストだろう。
今は5時。夏の夜までにはまだまだ時間がある。
私はそのまま鞄と膝に抱え込むようにして、頭を伏せた。
海から吹く風は冷たく、頭を冷やすのにはもってこいだ。