「よいしょっと…」

肩掛けの鞄を掛け直して、雲雀は龍娘と対峙する。

長くウェーブのかかった金髪、昨今のティーンエイジャーに見かけられる発育のよい抜群のスタイル。

人目を惹くのも無理からぬ容姿だ。

しかし雲雀は、その容姿を敢えて別の姿に変える事を愉悦とする。

変装術。

雲雀の変装は芸能人が顔を隠すようなレベルではなく、最早映画での特殊メイクの域に達している。

何処から情報を取得しているのか、性格や癖も全てコピーする。

だが全くばれないのでは面白みがないのか。

先程のアリスカの変装のように、『敢えて』尻尾を見せて相手にヒントを与える。

それに気づかれるかどうか…雲雀はそんなスリルをも愉悦と感じているのだ。