だが。

「やだやだやだっ!来ないでっ!」

残念ながら璃月の方に、既に心の余裕はなかった。

穏やかに語りかける龍娘の言葉になど耳を貸さず。

「来ないでっ…」

手近にあったコンクリートの壁に指を食い込ませ。

「てばぁっ!」

何と壁を引っぺがして投げつけてくる!

「なっ!?」

驚愕したのは勿論龍娘だ。

2メートル四方のコンクリートの壁を華奢な腕で…しかも片手で引き剥がしたかと思うと、まるで消しゴムでも投げるかの如く、無造作に投擲する!