だが、璃月は重大な過ちを犯していた。

彼女が校舎をフラフラと歩いていた頃。

「これは…」

校舎の別の場所を、龍娘もまた追跡中だった。

校舎のそこかしこに残る傷痕。

比較的新しい。

傷を凝視しながら、龍娘は考える。

これ程の傷をつける生徒と言えば、今の所は璃月しか有り得ない。

そして傷の真新しさから、ごく最近付けられた傷と判断できる。

つまり。

璃月はこの近くにいるという事。

まるで狩人が足跡から獲物を特定するように、龍娘は徐々に璃月を追い詰めていたのである。