「一人暮らし、万歳!」




ベランダに出てつい叫んだ一言に



慌てて口を塞いだ。





っといけない、いけない。




引っ越し早々、苦情が来たらたまったもんじゃない。



頭をブンブン振って部屋に戻る。





小さなワンルームマンション。


今日からこの部屋があたしのお城になる。


「ムフフ」


そう思うだけでニヤけが止まらない。



..気持ち悪い声が出てるけど、決して怪しい人間じゃないから!!












んんっ!



あたし、岩下優芽。



どこでにでもいるごくごくフツーの女の子です。




何の取り柄もないあたしだけれど




どうしても目指す学校に通いたくて




必死に勉強して




普通とは少しかけ離れているお父さんに説得をして



ようやく許してもらって合格したんだ。



で、今日から此処で一人暮らし。




一人だよ!?一人!!



って多分そこで既に普通とは違うかもしれないけど。




「なかなか頑張ったよね~あたし」




フフンと自然に鼻歌を混ぜながら段ボールに手をかける。





勉強に説得。




ダブルでよく頑張ったよ、あたし。



うんうん!



頷きながら荷物を解こうと手荷物を見ると




「あ、やばカッター持ってくるの忘れちゃった」






家から荷物運ぶ時にまぁいいやなんて思いながら持って来なかったカッタ―。


そうだよね~


引っ越しには必需品なわけで。



「仕方ない、買いに行くか」



ため息を付きながら立ち上がる。


ついでにご飯も買いに行こうかな~。


引っ越し初日で作る気になんてなれないし。


そんな事を思いながら携帯と財布を持って立ち上がったその時だった。




ピーンポーン!!


いきなり鳴った、初チャイム。


少しドキドキしながら玄関先に向かう。








「絶対にオートロックだ!!」



部屋決めの時、お父さんってば不動産屋さんに

部屋の条件を聞かれた時、そう言いまくってたっけ。




警視庁のお偉いさんのお父さんは



とにかく心配症というか



親バカと言うべきなのか。



常にどんな時もあたしが世界一大好きっていう人で。




だから今回の件も凄く揉めたんだ。


で。



一番苦労したのがあたしの部屋選び。



その中でも絶対に外せないのが




オートロックだとか言って。



不動産屋さんにすごいケチ付けてたんだよね。




確かに心配なのは分かるけどさ。





オートロックにするか、しないかで家賃が変わってきたりするんだよ。




これからお金がかかるのに家賃まで高いとこにしたくない!



そこだけは譲れなかったあたしは最後まで大反対して




お父さんは渋々折れてくれたんだ。



そういえば..


今朝お父さん、何かブツブツ言ってたような気が..



「はぁい」



取り敢えず返事をすぐに返してドアスコープを覗くと



その先には見ず知らずの男の人が立っていた。