あのベンチに二人で座ると、沈黙が訪れた。
どのタイミングで何を話せばいいのか、わからない。
チラリと盗み見ると、伏せた瞳の上でふわりと揺れる長いまつげが見えた。
「あのさ、」
沈黙を破ったのは、片桐くんだった。
「こないだはその、ごめん」
え・・・。
思いがけない言葉にあたしはバッと顔を上げた。
「その・・・ミカコも俺のこと、見た目で判断してんだろうなって思ったら、ついムキになってた」
「見た目で判断・・・?」
なんだろ。あたしが想像してたのと、全然違う。
もっと、ひどいこと言われるような気さえしてた。
「俺って女顔だし、身長もでかくないし。とにかく、クールで真面目で恋愛とか興味なさそうって思われててさ」
「う、うん」