「そっかあ。じゃあ、片桐のこと本気なんだね」


「うん・・・。あたし、嫌じゃなかったの、片桐くんにされたこと。意外な一面を知るたびになんていうか、ハマッてっちゃうんだ・・・」



唯ちゃんのお母さんがいれてくれた紅茶はあたたかくて、冷えかけていたあたしの心まであたたまるようだった。



「なんかわかるなー。あたしも文哉と付き合う前そうだった」


「え?そうなの?」


唯ちゃんには文哉くんていう幼なじみの彼氏がいる。
訳あって恋人のフリをしていたみたいだけど、最近本物の恋人同士になったらしい。



「相手のこと知れば知るほど、好きになっちゃう感覚。すごいわかるよ」


「うん。でも、片桐くんのことあたしまだまだ知らないことがありすぎる・・・」

ため息をついて、あたしは続けた。



「このままじゃ、ただの都合のいい女になりそう・・・」




「うーん。片桐、そんなに悪いやつじゃないよ」



「え?」