「ユナ、エリサ! いるのか?」

カズアが呼びかけると、エリサが炎で明かりを灯してくれた。
エリサは、ユナをかばうような位置で船先を向いていた。
足元まではよく見えないので、注意しながら二人の元へ歩いて行く。

途中、ぐにゃりと何か軟らかいものを踏んだ感触がしてバルトが声をあげた。

ああ、とエリサは炎を大きくする。

そして甲板全体が照らされるとその正体が見えた。

「こいつがくっついてたから遅かったんだな」

船先のあたり、だいたい甲板の三分の一を包む感じに、巨大な蛸が倒れていた。

「壊される前に気付いてよかったな」