「・・・あんなに、おれのこと熱心に考えてくれる人初めてだったから」

最初はカップを落としそうなくらい蒸発していたエリサが、ふっと悲しげな目になる。

「命はみんなのために捨てるものだと、おれは思ってきた・・・。
 だけどバルトは違った。  
 最初は、バルトがなんであんなに怒るのか理解できなくて・・・でも、とってもあったかい気持ちになったんだ」

「そうなんだ・・・」

アレスとミュールは決して冷酷な人間ではない。

もちろんエリサもそんな育てられ方はしていない。

ディオが言っていた、二人は本当は戦うには優しすぎると。
二人はどうあっても他人を守ろうとする自己犠牲の気持ちが強かった。
表沙汰にはしていないが、黙っていても子は親に似るものである。

ちっちゃな体で無理をしてきたのだなぁとユナは感心した。