沈みかけた夕陽を見ながらエリサが言う。

「バルトが、そろそろメシだぞって」

「カズアは料理すごい上手なんだよー」

カズアの母はたびたび寝込むことがあった。
そのうちに料理を覚え、いつか大きな街でレストランを開きたいとも言っていた。
しかし本人も村を出ることは本望ではないので、ただの夢で終わっているらしい。

ユナはカズアの作るオムライスが大好きだった。

とろとろの卵に、特製のデミグラスソースをたっぷりかける。中から顔を出すのはいい香りのするバターライス。

ここでは材料が揃わないので難しいみたいだが、旅が終わったあとになっても、いつかエリサにも食べさせてあげたい。

「ねえねえ」

とめどなくそんなことを考えていた自分に気付く。

「ユナってカズアが好きでしょー」

どきりっ。