咲子は、ワタシが言ったことを素直に受け取り、レジへ向かった。
そんな姿が可愛かった。
拓真が好きな理由が少し分かるかも。
「ごめん。
お待たせ〜」
「どっかでお昼にしない?」
「うん!」
ワタシたちは、少し歩いたところにあるパスタ屋さんに入った。
「ご注文は?」
「クリームのパスタ」
「じゃぁ…、ミートのパスタで」
「かしこまりました。
少々お待ちください」
とても雰囲気にこだわっているお店だ。
イタリアの海を想像させる店内。
照明は少し暗く、真珠の中にいるみたいだった。
「加奈と遊ぶの久しぶりだね〜」
「そうだね〜。
いつぶりだろ?
春休みぶりかなぁ?」
「うん。
なかなか遊べなくてごめんね…」
「大丈夫だよ。
弟さんのこと、大切にしてあげて?」
「……加奈は本当に優しいね」
咲子はグラスを持ちながら言った。
「そんなことないよ」
「いや、加奈は優しいよ。
長年一緒にいるワタシが言うんだから間違いない。」
「なんだそりゃぁ」
フフッと笑ったワタシたち。
「ワタシ、そんな加奈が大好きだよ」
「うん?」
「加奈は?」
「ワタシもだよ」
「良かったぁ」