振り返らずとも声でわかる。
クラスでも特に私を嫌ってる、チャラチャラ女グループ(命名・私)のリーダー。
私のネーミングセンスが古臭いのは、気にしないでほしい。
ていうかなによ。鉄の女って。
「あんた、陰で鉄の女って呼ばれてるんだよ」
いや、聞いてない、聞いてないから。心を読むな。
「クールだもんねー。死んだ彼氏も浮かばれないね」
その言葉に少しカチンときて、
「用件は?」
不機嫌そうにいってしまった。落ち着け、私。
「はい、あたしからのラブレター。一人でよんでね」
そういって手紙を渡して、足早に教室を出て行った。
ほほう、このご時世にラブレターですか。
ラブレターにしてはかわいい柄とかなくて、質素だな。
あ、よくみるとご丁寧にドクロマークが。斬新すぎるだろ。
中の便箋をとりだす。
――明日の放課後、廃校舎の第一教室に来い
彼女のラブレターは、口調も斬新だった。