「なに、それで満足?」 「…幸せ」 「そのときだけでしょ」 「それでもいいの」 「虚しいやつ」 彼女は唇を噛みしめた。 「どうしようもないんだよ… いくら頑張ったって届くはずないんだから」 「今から頑張ればいいじゃん」 「すぐにどうこうなる問題じゃないでしょ? あと一年しないうちに…彼はいなくなる」 今度は俺が何も言えなくなる。 あぁ、世界とは、よくできているものだな。 俯く彼女を見て不意に、そんなことを思った。