魔の手は、徐々に、近づいていた。


『放課後さ、ちょっと寄り道してかねぇ?』
「うん♪」
そう言われた、朝。
そして、今は放課後。
「どこ行くの―?」
『着いてからのお楽しみ~』
「ケチ―っ」
一体、どこなんだろう?
『着いたぞ』
「わぁぁ!!すっごい綺麗」
そこは、一面に広がるひまわり畑。
黄色いじゅうたんがあたしの目に映る。
『な?凄いだろ』
「うん!あたしなんかより背大きいし、迷子になりそうだよねっ」
『そうだな(笑)うし、ケータイで写真撮るか!』
「うん!」
あたしはケータイのカメラをひまわりに向けた。
『バカッ!ツーショットでだよ!』
「えっ」
あたしの頬は、真っ赤に染まる。
『もっとくっつけよ』
「う、ん」
あたしと湊は最高の笑顔でピースを作る。

カシャッ

待ち受けにしよう♪
『帰るか』
「うん」

この時のあたしたちは笑顔だった。
だけど、その笑顔も、なくなる…。
あの、1人の女の手によって…。