「っ!!湊―――!!」
『!…愛華!?な…んで』
「バカッ!!なんでぇ?なんで言ってくれなかったの!?」
『ゴメン…。言えなかった』
「なんで!!」
『だって…言ったら泣きそうになるし…。こんなダセェとこ…見られたくねぇんだよ』
「ほんとバカ…。見せてよ、弱い部分も。湊の全てを…あたしに見せてよ」
『ごめん。愛華、俺アメリカに行くんだ。いつ帰って来れるかは、分らない…』
「うん…」
『けど、必ず戻ってくる。だから…それまで待っててほしい』
「…待ってる。ずっと、湊の帰りを待ってる」
『…そろそろ行かねぇと…』
「うん…。バイバイなんて、言わないから。湊……いってらっしゃい!」
『…いってきます』
あたしたちは、人目も気にせずキスをした。

これは、別れのキスなんかじゃない。

これは…

約束のキス。

待ってるよ、湊。
ずっと、ずっと待ってる。
今度戻ってくるときには、素直になって戻ってきてね?

――湊、いってらっしゃい。

12時、湊は…この地を発った。