金曜日。
めずらしく湊が早起きしていた。
その日の湊は、学校でも元気がなくて…。
どうしたんだろう?
どうしたの?って聞いても、なんでもないって言う…。

湊の力になりたいのに…。

家の前、家の中へ入ろうとしたら、湊があたしの腕を掴んだ。
そして、湊の胸へひきつけられ、強く、強く抱きしめられた。
『愛華、好きだよ……』
突然そう言った湊。
『ずっと…ずっと好きだ…』
なんで今そんなこと言うの?
まるで…どこかへ行く見たいじゃない…。
そして、湊はキスをした。
いつもより、深い、深いキスを。

湊…あたしも、大好きだよ?
なのに、どうして…?
どうしてキスの後、そんなにも悲しい顔をしたの…?

あたしは分らないまま、家の中へ入った。

湊が涙を流していたなんて…気付かなかった。