耳鳴りのようにガリガリと骨が砕ける音が、何度も何度も繰り返される。

「ああ、なんて酷いことなんだ。ああ……、そんなこと、もう二度とあってはならないのに……」

 ホームでひざまづき、両手で指を重ねる。


「なぜ……、そうなる。なぜ大阪なんだ。大阪でないといけないんだよ!」

 思わず吐き捨てた言葉だった。

「それに……、どうして私ではなく、君なんだ。見知らぬ君が、突然私の前に現れた? なぜ、こんなにも酷い犠牲にならなければならなかった? 仕打ちを受けねばならなかった? 痛かったろう、辛かったろう……」

 もはや、声にもなっていなかった。

 群衆のざわめきに掻き消され、独り佇む。


 しかし、その時だった。


『……貴方が……』

「え?」

 彼女の声だ。

『貴方がココにいるから、ですよ』

「……私が、いるから?」

 私はゆっくりと立ち上がる。

「お、おい。君! どこだ?」

 辺りを見回した。レールやホームのそこらじゅうに飛び散った血のりから、沢山の声が直接頭に共鳴する。