「スイッチ?」

「眼鏡を外すのです。拡散された世界……それが、真実。つまり、解体です」

「ますます判らないな。それが真実だとして、政府が黙っていないでしょう?」

「そこが、オカミです。よくご存じではありませんか。そうすることで貴方以外の全てが、解体されます」

「君も、この世界も解体されるのに……」

「大阪です」

「君も、この大阪も解体されるのに、私だけ孤独に浸れと?」

「貴方は大阪人であり、関西人です。だから、建て直す責務があります」

「何度も言うようだが、この世界は個人で成り立ってはいないんだよ」

「もうすぐ電車が来ますね」

「ああ、そうみたい」

「私、叱って貰ったのは、初めてです」

「そうなの?」

「もう、思い残すことはありません」

「また会えるよ」

「いえ、大阪解体……、必ず成功させて下さいね」

「とにかく、電車が来たから……」

「サヨナラ……」

「あ、ちょっと!」

 ホームから飛込んだ彼女は、私の目の前で朱に染まり、挽き肉になった。