無人駅
街灯もなく真っ暗な周りの景色
どこからか聞こえる
動物の鳴き声
やばい。怖い
すぐにバックから
ケータイを出して
杏里に電話をかけた
「もしもし杏里!?」
《愛理ーまだ来ないの?
もうみんな集まってるよ?》
「助けて!電車乗り間違えて
変な田舎に来ちゃった!」
《ぶふっ!変な田舎ってなによ?
ねぇ、みんなー愛理が変な世界に
行っちゃったんだってー》
完璧に笑い者にされてる
電話からは
みんなの笑い声が
聞こえた
くそっ!こっちは一大事ってときに!
《愛理ー早くこっち来てねー
ばいばいきーん》
ぶつっ。
電話の切れた音が虚しく鳴り響いた
唯一の助け舟が
沈没した音でもあった
ちーん。