「待ってたの?」


「全然。」


昇降口の前にしゃがみ込んだ貴方が、しらっとした顔をして私を見上げる



白い息を吐きながら、
伸ばした指先はかじかんで赤くなっているのに


「嘘つき。」

「嘘だと思う?」


それでもすっとぼけて見せるから、思わず苦笑いを浮かべた。


「帰らないの?」

「そろそろ帰ろうと思ってたとこ。」


全然素直じゃない優しさが、スーッと私の胸にしみて、涙が出そうになる。


「帰ろうか。」

「・・・うん。」


小さく頷いて、立ち上がった彼の背中に隠れる様にしながら、帰り道を歩いた。