バタンッ


玄関の扉が閉まる音を、ハンドルに顔を埋めながら聞いてた。


「・・・・っ」


よそ見するつもりなかったのに、



「・・・何で」


どうしても気になって振り向いた先

玄関の前に立ち尽くした彼女が、泣きだしそうな顔で微笑んだ。


唇の動きだけでわかる


バイバイ



そうだね。

もう会わない方がいい。


俺の中の欲情が目を覚ましたら、貴女を不幸にするから・・・


バイバイ。


執着するより早く

気付いたらよかった。


貴女への想いが深まれば深まる程


貴女は幸せにはなれない



だから、サヨナラ・・・



首筋にKiss

―――欲情――・・・