「どう、したの・・?」


彼女は大きな目を丸くして、上げかけた腰をまた助手席におろす。



「髪のびたな・・」

「はっ?」

キョトンとした顔をして細く笑う貴女は

長い髪も似合うなんて知らなかった。



「そんな白かったっけ」

「生れつきです。」


どうしようか・・・
白く木目の細かいその肌に、無性に触れたいと思ってる。



「整形した?」

「はっ!?失礼な・・」


ムキになって怒る彼女の腕を掴んだまま


「・・・・・」

「いつの間にそんな綺麗になったの?」


油断した彼女の首筋に

唇で触れた。


「・・・・・」


「もう帰りな。叱られるよ。」


顔も見れなかった。

見るのが怖かったんだ、どんな顔して俺を見るのか。


「・・・言われなくても・・・帰るわよ。」


囁く様な、少し掠れた声が耳につく。


「じゃあね。」


「じゃあね。」


もう二度と会わない。


見守るだけの愛も
与えるだけの想いも

張りつめた糸が切れた時


見返りを求めてしまう。