《萌香ちゃんは、少しなら喋れるんだね?》

「…うん…」


あまり長い文は喋れないが、少しなら喋れる。

なるべく喋ろうと心掛けているというのもある。

聴力を失い、真菜に出逢うまでは、喋れなかった。

でも、真菜に出逢い、ワタシの事を理解しようとしてくれている人がいるのだと知り、喋ろうと努力した。

そして、聴力を失ってから、初めて言葉を発したのが、真菜の誕生日。

おめでとう、とだけ言えた。

真菜は感動して、涙まで流してくれた。

それが嬉しくて、言葉を発することを心掛けようという気になったんだ。