真菜は、2人の男の子を連れてやって来た。


「…だ…れ…?」

《ワタシの彼氏と、その友達だよ》


彼氏…。

友達…。


《初めまして。
真菜の彼氏の山下智明(ともあき)です》


っ!?

手話が分かるの!?


「…分…かる……?」

《うん!
俺たち、大学生なんだけど、大学で手話を勉強しているんだ》

「…どう……して…?」

《萌香(もか)ちゃんの為だよ》


ワタシの為…?


《真菜が、萌香ちゃんと話がしたいけど、手話が分からないって言うから、俺が勉強して、真菜に教えているんだ》


智明さんが…?

真菜は手話を、ずっと前から知っていたんだと思っていた。

でも違ったんだ。

真菜は、ワタシの為に、手話を勉強した。

その為に、智明さんも手話を勉強している。

…あぁ、ワタシって、色々な人に支えられていたんだ。


「…あり…が…とう」

《お礼なんていらない。
おかげで、萌香ちゃんと出逢えたんだし》


智明さんだって、自分がやりたい事くらいあったはず。

それなのに、ワタシの為に手話を勉強してくれている。

感謝しなければならない。