「…き…こ…え…た」
《嘘!?》
《本当》
そう、一瞬だったけれど、龍の“トゥーユー”が聴こえた。
空耳かもしれないけれど、ワタシは信じる。
今のは、確実に龍の声だって。
「…き…せ…き…?」
《奇跡だよ。
俺、すんげぇ嬉しい》
龍の声、初めて聴いた。
もっと聴きたい。
《龍、歌手になって》
「…え?」
《歌手になるのが夢だったんでしょ?
だったら、なって》
「…でも」
《龍が歌ってるところ、見たい。
そして、いつか聴きたい》
《いいの…?》
《もちろん!
龍の夢なんだから》
「俺、頑張るよ…っ」
「…うん…っ」