「瑠衣の靴がまだあったから、ひょっとして教室にいるかな~って思って……」
“瑠衣”なんて馴れ馴れしく呼ぶけれど、俺は彼女の名前すら知らなかったし、特に知りたいとも思わなかった。
「ね、一緒に帰ろ?」
「あー……、悪いけど、ちょっと用事あるから」
一緒に帰ろう、と誘われるのは彼女が初めてじゃない。
日替わりでいろんな子から誘われる。
俺がいつも1人で帰ることを知っているくせに。
毎日のように誘われても、絶対に首を縦に振らないことを知っているくせに。
彼女たちは毎日飽きもせずに俺を誘う。
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