……ちょっと待て。

“女たらし”っていう表現はないだろ。



だいたい俺は、周囲の女子たちに恋愛感情なんて一度も持ったことないし。

それに、ずっとずっと昔から君だけだったし。

こういう自分を作り上げたのだって、君と出会うために……



なんて、本当の理由なんか言えるはずもない。

言ってしまったらそれこそ、「あんたバカ?」って蜂谷から本格的に拒絶されてしまう。




「………」




いまだバサバサとハンカチを振り続ける蜂谷。

手のひらからわずかに見える、俺と同じアザ。