「……ありがとう」




礼を言う蜂谷。

……ここまではいい。


が、問題はそのあとだ。



蜂谷は差し出されたハンカチをわざとらしく親指と人差し指でつまみあげる。

そして、まるでバイキンでも払うかのようにバサバサとハンカチを振り始めた。




「え、何それ」




顔をしかめて言う俺に、蜂谷は涼しい顔をしてさらりと言い放つ。




「……悪いムシの駆除」


「悪い、ムシ?」


「そ。“女たらし”という、悪~いムシ」