“お母さん、僕、空手を習いたい”


“えっ? 今度は空手? サッカーとバスケはどうするの”


“どっちも続ける! ね、いいでしょ?”




サッカーとバスケ、そして空手。

塾に英会話にピアノ教室。



全部、自分からやりたいと頼んだ。

放課後や休みの日、友達と遊ぶこともなく習い事に没頭し続ける俺を、両親はひどく心配した。




“なぁ、瑠衣。習い事を減らしたらどうだ? まだ小学生なんだから。お父さんは友達と思い切り遊んでくれたほうが安心するんだけどな”




父さんはそう言ったけれど、俺は頑として首を縦には振らなかった。