（『会長……あたしに愚痴じゃなくて、そういう話をしてよ……』）
会長と随分仲良くなったつもりだったのに……。
重要な（？）事を教えてくれなかった会長を心の中でたっぷり恨んだ。
でも、会長がまた「ありがとうございました」と満面の笑顔でお礼を言い教室へ駆けていくのを見て、心があったまるのを感じた。
葵もここ最近、会長の調子が悪いことに気付いていた。
けれど、会長は心配を掛けられるのを心底嫌がるので、葵は見守っているだけしか出来なかったから。
（『良かったね、会長……』）
慰め方は決して良いものではないけれど、会長の笑顔が見られた事は心底嬉しかった。
「さて、あたしも行こうかなっ！」
会長の笑顔により、テンションが上がっていたあたしは、いつの間にか口に出してしまっていた。
