4月3日

この日あたしは裕を待っていた。
夜景を見に行く約束をしていた。
いつもと同じくらいの時間に
裕から電話がきた。

『着いたよ!』
『今行くね!』

電話を切り、かばんを持って
玄関のドアを開けた。
裕に軽く笑いかけ、車に乗った。

1時間半近く車を走らせ、
急な坂道を登り続け、車を止めた。

「到着!」
裕の声を聞いて下を見る。
「うっわー!キレー!」

街に溢れる光が煌めいていた。
車から降りて夜景を写真に撮った。

しばらく夜景を見ながら裕が言った。
「そろそろ行こっか。」
「うん…。」
そう言ったものの、
なかなか動こうとしないあたしに
裕がもう一度口を開いた。
「次はもっとキレイに見えるとこ
連れてったるからさ!」
裕のその一言にあたしは動いた。
「うん!」