やっと円香はほっぺたから指を離す。
見事にピンク色になった。
「佐野君がずっと鈴の隣にいるなんてわかんないんだからね!」
「う、うん。」
そうだよね、透哉だって
彼女できてもおかしくない年だし、
薄々でも、透哉が女子からモテていることは分かっているつもりだし…
いつまでも私が居たら迷惑だよね…
――――チクン。
そう思うと少しだけ悲しくなった気がする。
「おーい、朝礼始めるぞ!」
ちょうど、担任の吉田先生が
入ってきた。
「じゃ、休み時間ねっ!」
円香は手をひらひらさせ、自分の席に戻って行った。