結果から言えば、私は入学式に間に合わなかった。
だけど教室に戻る混乱に乗じて、なんとか目立った登場をすることは避けられた。
みな整然と並べられた席に座っていく。
落ち着いたところで、私は辺りをぐるりと見渡した。
そして気付く。
女子は私を。男子は少し離れた席の女子をちらちらと見ていることに。
その女子の横顔は、今朝見たばかりの人物だった。
「先ほど式でも言われた様に、この学校は《自由奔放で創造性を育てる》を校風に掲げている」
石田と名乗った担任は、最低限守る事と親達への挨拶を述べる。
時間にして、わずか五分。
さすがに短過ぎでしょ……。
心の中でツッコミを入れる。