「あ、あたし行きますね。すみませんでした……っ!」 弾かれる様に、全速力で駆け出した。 入学式に遅れてしまう。 最初からそんなでは、先が思いやられるという物だ。 焦っているのは、そのせいで。 決して男にどきどきしてしまったのを誤魔化す為ではない。 そこまで考えて、ふっと違和感が頭を掠める。 しかし焦り急ぐ僕の思考に、それが留まったのはほんの一瞬だけだった。