「あなたも、大丈夫ですか?」
立ち上がって聞くと、女の子は申し訳なさそうに「大丈夫です、すみません」と言った。
並んで立って、彼女の背が高いことに驚く。
あり得ないほどじゃないけど。
女の子にすれば高い方だと思う。
(女の子としてなら)そこまで小さい方じゃない私より、頭一個分は上だから。
「すみません。あたし、急いでるので……」
「あ、いえ。でも、気をつけて下さいね」
「え?」
「あなたの様な可憐な方に、傷でもついたら大変ですから」
引き止めてすみません、と苦笑混じりに謝罪をすると、女の子は頬を仄かに染めて。
「あ、あたし行きますね。すみませんでした……っ!」
来た時と同じ様に、駆けて行った。
その背中を見送って廊下の先を見ると、そこには目的の理事長室があった。
他には応接室が何室か並んでいるだけ。
何か違和感を覚えながらも、私は理事長室へと足を進めた。