彼は今日、 親の仕事の都合で、東京へ引っ越すのだ。 私は、走り出す車を、夢中で追いかけた。 必死だった。 瞬くん、瞬くん、瞬くん・・・・・! でもそんなことは無駄で。 私は途中で派手に転んでしまった。 「瞬くん・・・・っ」 背後から、母が駆けつけて心配そうに私を抱き上げる。 それに構わず、私はわあわあ泣いていた。 悲しかった。 ただただ、悲しくて、寂しかった。 声を枯らして泣いた、小学校3年生の夏。