だけど今年は・・・
そんなことを想いながら
着物を選んでいるのだ

だが母親は
そんな志季の心境など知らず
言葉を続けた

「入っていいわよ
悠清(ゆうせい)さん」

母の後ろから入る男の影
扉が低いのか
頭を下げて入ってくる


・・・
その男に志季は見覚えがあった