岩場に打ち上げられた海耶の遺体は蒼白く、まるで大きな魚のようだった。

それでも醜くはなかった。海耶はずっと、綺麗だった。


自殺だとわかったのは、揃えられた靴が発見されたから。

遺書のようなものは無かった。

ただ、海耶の部屋で見つかった日記帳の最後には


“ヨシくんが大好き”


たった一行の言葉の意味を、俺は理解できなかった。