「わ、私は別に何とも思っていませんから。そんなふうに謝られる覚えもないし…筋合いもないですよ。先生は先生の幸せを選んだらいい。私は先生のこどもでもないし先生自身でもない。哀れまれる存在でも、罪悪感を持たせるような存在でもない」




用意していたかのように流暢に、私は先生へと言い放っていた。


先生の手が、するりと私の腕から離れる。


すぐさま二階へ駆け上がり、先生の部屋に飛び込んだ。


瞳の奥がどんどん熱くなる。


この部屋は、どんな私でも優しい香りで受け入れてくれるのに、私は何をやっているんだ?


言いたいこと、でも言ってはいけないことだったと、わかっているのに。


こんなの、本当に強い子のすることじゃない。私がしていいことじゃない。