「わ、私、二階にいますね」




逃げ出すように立ち上がったら、不意に先生に腕を掴まれた。




「ナツ、ごめん。あんたを巻き込んで。私は勝手にあんたと自分のこどもを重ねて…残されたあんたと自分を重ねて」


「…」




掴まれた腕がじんと熱い。


こんな先生、見たことない。


いや、見たくない。


こういう空気が私は一番嫌いなんだ。まるでお通夜を思い出させるような…


いつもの石井ちゃん先生は、キラキラした目で私を見ていた。


私も、そうでありたいと思うような強く輝く目で。


それは、どこにいったの?