私は何となく、悟った。


先生は、まだ自分のこどもを忘れられないんだ。


当たり前だよね。お腹を痛めて命懸けで生んだんだもん。


でも先生は、新しい一歩を今、何とか踏み出そうとしているのかもしれない。


足掻いているのかもしれない。




「昨日ね、ナツに話したの。昔話を。そしたら何だかスッキリしちゃった!」


「そうだったの…」




先生のお母さんは切ない表情で私と先生を見た。


その視線からは、深くて温かい何かが注がれてくる。


でも、それが私にはひどく苦しい。