私はその夜、皐月のことを考えていた。 楽しそうに話す姿、優しい目で聞く姿、無邪気な笑顔。 全部、石井ちゃん先生に向けられていた。 家族を見る目とは違う。 こういうカンは結構鋭いのだ。 でも、彼は石井ちゃん先生のお見合い話をしっているのだろうか… 私には関係の無いことだと思いながらも、皐月のことが頭を離れなかった。 眠れない。 こんなに静かで、澄んだ闇にくるまれた夜なのに。 眠れないよ。