「あー、営業だよ。冠婚葬祭のギフト取り扱っている会社の」
「ギフト…」
「そう、引き出物とかね。ま、このあたりじゃお葬式が多いんだろうけどねー」
そういう仕事もあるのかと思った。
私と大して歳の変わらない皐月が、妙に大人に思えて少し焦る。
私だけがこどものような気がして…
「なっちゃん、トマト好き?」
「え?あ、はい、好きです」
先生のお母さんが、キッチンから大きなトマトを見せながら言った。
さっきから、皐月のことばかり考えていた自分に気付き、急に恥ずかしくなる。
「瑠璃は食べないのよー。こんなに美味しいのにね!」